ブログなのだろう

趣味あれこれをつづる予定です

カオススパイスダイナーの話。

f:id:nodalow:20180918173759j:plain 

大阪に野暮用があって久しぶりに泊まった。

翌日、朝食付きのプランにしてなかったため腹が減っても朝食カードはない。至極当然の話だが。こうなったら心斎橋界隈のオシャレなモーニングorランチと洒落込むのが必然の理。結構腹も減っていたので、ここは最近スパイスカレー激推しの大阪ゆえにカレーを食するのが礼儀か。

 

スマホでポツポツ。「カオススパイスダイナー」聞いたことがある。評判も上々のようだしここに決定。テクテク堺筋から四ツ橋まで大横断。ポツポツ雨が降りながらも到着。11時半オープンらしくまだ扉は閉ざされていた。しかし2人ほど並んでいるのでさすがは人気店といったところか。

 

ここで彼らについて並ぶのは素人のやり口。そのまま素通りするのが一流のグルマー。いや、ただとりあえずビールが飲みたかっただけだが。手ごろなダイニングカフェでハイネケンを一杯。30分ほどたったので再度、カオスにアタック。すると先ほどの2人から一気に15人ほどに列が増えている。むしろ素人はこちらだったと猛省。列に並ぶと溢れんばかりのスパイスの香りに気持ちははやる。

 

 

ごった返しという訳でなく入店ペースをコントロールしているのか少し流れが遅いなと思ったが店内は快適な客数で気持ちよく着席できた。さてオーダーだ。まずは本場のライオンビールを頼み、カレーを注文。2種あい掛けにタマゴと鶏肉をトッピング、ライスはターメリックに。

 

わいわいガヤガヤ、カレーを待つ人々はどこか幸せそうである。ビールも進む進む。一番搾りの生に切り替えたところでお待ちかねのカレーが登場。黄昏色のターメリックライスがカレーの深淵へと誘ってくれる。やはり様式美は侮れない。複雑なスパイス香味が鼻に広がる。クミン、カルダモン、コリアンダーはもちろん他にも聞いたことのないスパイスがふんだんに入っているに違いない。希望的観測。

 

ガッガッガっとスプーンで軽く混ぜ、すくいあげ口に。ピリピリと口に軽い刺激、すぐには辛さは感じずグリーンピースの食感が楽しい。コクのある欧風カレーと違い種類の違う複数の刺激と香りでライスを追い込んでいく。そこにひき肉のジューシーさが加わり見事に味のダイヤグラムは補完される。また別の刺激で攻めてくる鶏肉をほおばる。口の中がスパイスの刺激でしびれたころピクルスがさわやかな存在となってレスキューしてくれる。

 

そこに一番搾りをゴクゴクゴク。常々、ビールに合う食事一位をカレーと公言してるのだがあらためて再確認できた。たしかな満足感、噂通りの完成度だった。次回はあいがけでなくソロでカレーを楽しんでみたい。ちなみに上記の2位は寿司である。(自分調べ)

 

 

ルクア・フードホールの話

 

f:id:nodalow:20180806172623j:plain

ルクア地下のフードホールに行った。

京都住まいを始めて以来あまり大阪駅にいくことがなくなったのだが、この日はひさびさに大阪駅近くで会議。帰りに話題のルクア地下フードコートこと、フードホールにいってみた。

 

ルクアの地価はバルチカと呼ばれるバルスタイルの飲み屋街をデパート内に落とし込んだ区画と、フードホールと呼ばれるいろんなお店のテイクアウトメニューを持ち寄って食べられるスタイルの2業態が存在しているようだ。バルチカでサクッと飲んで帰ろうかと思ったがさすがに連日TVで紹介されていただけあってどこも満員御礼。

 

仕方なく、エレベータ近くのテーブル席が空いていたのでとりあえず確保。3人いたので1人はお留守番として残る2人が四散して食料確保にでかけた。私は食料担当だったのでフードホールの総菜屋を物色。デパ地下よろしくのフォトジェニックな惣菜が並ぶが、ライブでオマールエビを裁くエリアに注目。スパークリング、生ハム、オマールエビがセットでぽっきり価格だとか。

 

あまり時間をかけても興を削ぐことになるのでここに決定。オマールエビを裁くお兄さんに話を聞いたところ、本来は生ハムがウリだとか。しかし大阪でも屈指の人の流れの行きつく先で映える一皿を提供しているとあらば、オマールエビに注文が集中してしまうのは自明の理。じゃあ生ハム多めにいれてよ、なんて言いながらライブ調理終了。

 

この大きな一皿を運ぶのだが大きい赤いエビが目立つもんだから、これを見てさらに他の客が並ぶ並ぶ。なるほどここじゃ、テーブルに運ばせるのもひとつの演出だなあなんて思いながら着席。酒担当もしっかり赤ワインを調達してくれていた。アルゼンチン産グルナッシュ。久しぶりだ。

 

レモンをしぼり、オマールエビをひと口。フレッシュな香りとエビの風味。大ぶりな歯ごたえが贅沢な気持ちにさせる。ぷりっぷりっというわけにはいかなかったが地下のフードコートなら上出来上出来。味ならご自慢の生ハムだ。こちらにはワインもある。鮮烈な塩気としっとりとした食感。遅れて甘みを感じるフレーバーに濃厚赤をゴクリ。仲間との談笑にこれだけ揃えば何も問題あるまい。

 

デパ地下にここまでそろっているのはすごいが、フードホールの場合追加が少し面倒か。キャッシュオンスタイルの店と違わくはないが、とにかく人が多い。もう少し、空けば楽しめる余白も広がりそうなものだ。まあでも大阪駅の地下だからまだしばらくは難しいかしら。なんて思いながらボトルは底が着いた。

 

 

ここは長居しないが正解でしょ。

と軽快に駅に向かう夜はまだ8時を回ったところ。

我々にはまだまだ遊びの余白は残っている。

 

 

ささみソテーの話

f:id:nodalow:20180713103814j:plain

料理に対する要求度は高い。

必ずしも常日頃というわけではないが、何が食べたいか?と聞かれた場合は遠慮なく答えることにしている。この日は妻が休日ということもあって、仕事にいく朝に今晩のご飯のリクエストを聞いてきた。

 

「そりゃあ高たんぱくでお馴染みの鶏むね肉のソテーでしょう。」

 

声高々に言い放ち、車を走らせた。週に2回のジム通い、ボクシングジムだが重きをおいているのはウェイトトレーニング。特にベンチプレスには一上入魂と言わんばかりに気合を入れている。いや、もちろんシャドーもミットも本気だが。これでもかと筋繊維を傷めつけた後はタンパク質だ。ちょうどその日はジムの日。ガシガシ鍛えてタンパク質でスパークさせたい。

 

全力を出し切り、帰宅。トマトが煮込まれた甘い香り。これはトマトソースだな。鶏むね肉のソテーにトマトソース。ベストマッチじゃないか。今夜はイタリアンナイトと洒落込むつもりだな。扉を開けるとジュワーっと細いむね肉を焼いている。細い?

 

「あれ、それむね肉?」

「いや、ささみやで。」

 

ほう。意外な答え。聞いてみるとささみが特売でむね肉の倍のサイズで価格が1/2ほどだったとか。それはファインプレーだ。アレクサも驚きの自己判断能力に歓喜する。しかしささみはたんぱくな上、筋も入っている。どう調理するつもりか。

 

滑らかな動きで冷蔵庫からかけるタイプのゴーダチーズを取り出し、両面焼いたささみ肉に散らし、オーブンに投入。そう来たか。となるとあとは、論理的帰結。先日家庭菜園から収穫したばかりのバジルの葉。お見事。

 

 

「いただきます。」

「どうぞどうぞ。」

 

 

華やかな見た目は食欲をそそる。とりわけ赤は挑発的だ。ナイフを入れると驚くべきほど簡単に切り分けられた。ひと手間を惜しんではいないようだ。とろりととろけるチーズをのせて口に運ぶ。言うまでもないが、ささみのタンパクさにチーズの組み合わせは試合を決定づけるビッグプレーだ。さらに酸味のあるトマトソース。しつこさを感じる前に仕事をしてくれる。さらに自家製バジルが追い打ちをかける。それはもう地中海の風そのもの。ティレニアンウィンドといっても過言じゃない。

 

筋肉が喜ぶ前に舌が感嘆している。焼き茄子のつけあわせも世界観にあっている。満足気に楽しんでいると妻が問いかけてきた。

 

「次なに作ってくれんの?」

「む?」

 

ボーノな夜は簡単に終わりそうにない。

 

 

 

ソース焼きそばの話

f:id:nodalow:20180713103809j:plain

ソース焼きそばを作ってもらった。

我が家は共働きなのだが、妻はサービス業なので土日祝が基本出勤日に設定されている。なので休日がかぶることがあまりない。全くないというわけではないのでその日が来れば前もって予定を組み、お出かけすることが定番だ。しかし、ふいに夕方までにその予定が終わった場合、当然お家でごはんを食べるのだがその際私はあまり凝ったものを作った試しがない。

 

というものの、大体ものすごい腹がへっているか、ものすごく疲れているかだからだ。この日も午前中からササっと出かけて夕方に帰宅。とりあえず何かないかと探る冷蔵庫。焼きそばがある。焼きそばがあるという事実をつまみにまずはビールで乾杯。ザクザクとキャベツを切り、豚肉に塩を振る。

 

「もう作るから座ってていいよ。」

 

妻が謎の提案。ありがたいが、恐縮もする。恐縮しすぎも返って逆効果。なのでいわれるがまま寝転がってテレビを見ながらビールを傾ける日曜日のお父さんスタイルを踏襲する。ソースが焦げる香ばしい匂いはまさに郷愁そのもの。香りに誘われ、進むビール。だがここで酩酊してしまっては元も子もない。ビール片手に立ち上がり、立食スタイルでキッチンに向かう。

 

向かえば向かうで何かしら仕事はある。サラダをまぜたり、食卓の準備をしたり。妻は手際がいい方なのであっという間に2~3品作る。今日もいいパフォーマンスを発揮している。焼きそばを炒め終えたあと、間髪入れずに卵をフライパンに投入。これはまさかパーフェクトソース焼きそばにする気か。ありものしかないキッチンで限界まで仕上げようとする食への執念、恐るべし。

 

 

 

さてソース焼きそばだ。目玉焼きが武装されているだけでゴージャスに見えてしまうのが素晴らしい。それをどう使うかで人生観が問われるほど焼きそばとの相性は千変万化。私はまず目玉焼きを置き去りにして麺を攻める。もっちり香ばしいソース味。粉ソースじゃなかったせいか多少水っぽいが問題ない。ソース焼きそばに精度など愚問。ソース焼きそばはおかずにも成り得る出世駒だ。炭水化物と炭水化物の相性についてここで持論を展開することはやめておくが、ソース焼きそばに関しては誰も異論はないだろう。ただ、今日は白飯ははないが。

 

目玉焼きだ。唐竹割りのごとく直上から箸を落とし、真っ二つ。とろりと流るる黄身と麺との逃避行。返す刀で白身で具材をくるんで無理心中のごとく頬張る。王道にして頂上。これが俺の生き様だといわんばかりに怒涛の展開を披露。見たか!

 

 

ところが妻はソース焼きそばには手も付けず、スパークリング片手にきゅうりをぽりぽりぽり。なるほどあなたの人生観、少しはわかってきましたよ。

楽しい晩餐の夜はまだまだ続く。

 

 

 

蕎麦あけぼのやの話

f:id:nodalow:20180724155657j:plain

東京最終日(といっても2日目)は蕎麦を昼食にした。

昼食を取る予定ではなかったが日比谷で映画を見ようと繰り出したものの、好みの映画がなかったので仕方なくすべりこんだ。

 

高架下のチープ感があまりなくキレイな店づくりは好感触。逆に蕎麦屋に期待する老舗感はないが、そこはイーブンパーというところか。カウンター端に案内されメニューを一瞥。ここはやはり一番大きく表記されている「常陸秋蕎麦100%の十割そば」であろう。こちとら関西人なので蕎麦よりもうどんを義務付けられているので本格蕎麦は数えるほどしか食べていないので楽しみである。

 

 

さりとてまずはビール。付き出しに枝豆。準備は整った。蕎麦が登場。つやつやの蕎麦にセルフ山葵がうれしい。しかもこの木製スプーンに盛られた塩がニクい。まずは塩でお召し上がりくださいってやつか。

 

ではお望み通り塩で、っと思ったら箸がない。む、これは試されているのか?ここですぐに店員を呼ぶのは早計だ。以前同じ状態で実はカウンターに引き出しがついていて箸が出てきたパターンがある。カウンター下に手をまさぐる。何も引き出せない。カラの右手だけがむなしく現れただけだ。そうなると箸立てが何処かにあるのか?いや、この長いカウンターにひとつも箸立てはない。二本の指を硬化させようかと思ったが大人しく店員さんを呼ぶ。

 

 

 

蕎麦だ。まずは塩。蕎麦のような流体に塩をつけたことがないので配分が難しい。上からパラパラ、かかっているのかわからないがひとすすりする。確かに旨い。蕎麦の香りが鼻に抜ける、という言葉はよく聞くがその感覚はまだ知らない。それが蕎麦特有の香りなのかわからないが微かに香る。強い香りではないので蕎麦初心者の私では塩でないと捕捉できなかったと思う。

 

食感は十割ならではの歯ごたえと舌ざわり。咀嚼していくと旨味がわかる。次はつゆにつける。カツオだしか、濃いコクがある。なるほど山葵に合うはずだ。出汁の地域性についてケンミンショーレベルしか考えたことがなかったが、何となくこの醤油由来の濃さは関西出汁と違い山葵がマッチするとわかった。ここはショウガではない。

 

 

つゆ、塩、と連続して味わっていくとなるほど旨い。2~3本すくってすする様式美もしっくりくる。しかしやはり蕎麦ってのはすぐなくなる。おかわり700円とメニューにある。迷いどころ、思案しているともう食事が終わったと判断されたのか蕎麦湯を出された。タイムアップだ。仕方なく濃いつゆにぬるりとした白濁の蕎麦湯を注ぐ。

 

元来、汁もの大好き人間である。これは旨い。しかもこの山葵がすごい。香りが立つのにツーンとこない。先述したこの濃いつゆだから山葵がよく合う。ツーンとこないもんでどんどん入れてしまう。根元まで擦ってやろうかとガシガシする。そうやって蕎麦湯がなくなるまでガシガシやってると何やらおなかも満足気。

 

 

蕎麦湯を飲み干し暖簾をくぐると、肩で風切る江戸っ子気分。オヤジ、ごちそうさんとでも言わんばかりにバイトの青年に手を振る。暑くてかなわねえな、なんてぼやき、妻と帰路につくのであった。めでたしめでたし。

 

 

 

 

マクシヴァンの話

f:id:nodalow:20180724155554j:plain

先日、誕生日を迎えた。

不惑を迎える年の誕生日会は妻の研修先としてついていった東京で。以前から行きたかった六本木のワインとフレンチのお店、マクシヴァンにお邪魔させていただいた。著名なソムリエの佐藤陽一さんがオーナーを務めるお店でソムリエ協会での軽妙な講演を拝聴したときから来店を夢見ていたのだ。そういう経緯もあってワクワクで扉を開いた。

 

ワインの空き瓶がたっぷりと並ぶアンティークな雰囲気の温かみと、どこか懐かしさを感じる店内。いわゆる高級フレンチのような整然としたイメージとは真逆だ。フランスの片田舎のビストロみたいなものを意識されてるのだろうか。さておき肩肘張らなくてもよさそうな雰囲気は食事を大いに楽しめるので胸は高鳴る。

 

佐藤氏にテーブルに案内される際、ムッシュとマダム呼ばれまんざらでもない2人になる。ムッシュと言えばかまやつになるのだろうが、こちとら関西人、とりわけ大阪人なのでムッシュは85年タイガース優勝監督、吉田義男氏を想像させる。どちらにせよ聞きなれない敬称はむずがゆくも楽しいものだった。

 

 

さて料理である。まずはシャンパーニュアミューズと嫌が応にも気分をアゲるしかないコンボを叩きこまれる。あれ、コース電話で予約したっけな?と思ったがそのあとにコースを聞きに来る戦法だった。シュワワッといい感じでアルコール効かされた後にそんなもの訪ねられたら、こちらも関西人の端くれとして「いっちゃん高いの持ってき~!」と言わんばかりに松コースを選ぶしかない。といっても品数だけの問題だが。

 

サンセールのさわやかな白からはじまり、料理に合ったワインを流れるようにサーブするスタイルはオーナーソムリエのビストロならでは。まずはあれこれ語らず、一度注いで我々だけで楽しんだ余韻のあとに、ひと言だけワインの説明。軽妙さは講演時といささかも変わらず、料理とおしゃべりを楽しませることに軸足を置かれている。

 

メイン料理の前に、松コースにしかない特別な一皿と呼ばれるメニューが到着した。それが写真にある馬肉のタルタルだ。牛肉のユッケが食べられなくって久しいが、馬肉ならOK。もちろんユッケの味付けではない。ひと口頬張ると馬肉かと疑うほど癖のない香り。食感は適度な弾力のあるやわらかさ。食感の楽しさ、おいしさを満額味合うなら十分な厚みが必要になる。この厚み、抜群だ。クセはないといったが肉本来の野味はある。それが旨い。削った熟成パルメザンチーズの香りも後押ししているか。

 

ひとくちひとくち濃厚で鮮烈。ひと口なくなるとまたひと口。これはあれだ、中毒症状だ。あっという間になくなるのでバローロを流し込む。つまり巧妙な誘いに乗ってしまったわけだ。じわぁと染み入るネッビオーロ。カラダ全体が舌になった感覚だ。全身の細胞でアルコールを浸透させている。こんな時に、妻にこの料理解説して!などと言われたもんだから、思わず「うまい肉!」としか答えられなかった。

 

 

まだまだこれからメイン料理、デザートへと続いていく「ワイン」ディングロード。グルメな夜のトリップはまだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

阿波や壱兆の話

 

f:id:nodalow:20180724154333j:plain

先日、東京に行った。

妻の研修に付きそう形で、ついでに観光もかねて朝から飛行機に乗った。1泊2日を満額使いきるため、早朝の便で羽田に。さすがに早すぎた8時半着。まだどこも開いてない時間だが、あらかじめ先週2人で観ていた「セブンルール」という番組で紹介されていた素麺屋が24時間営業ということを知っていたので東中野に直行した。

 

京都も暑いが、東京も暑い。うだる暑さは日本列島を席巻中で店は駅前という近さなのに、無駄に道を間違えほんの一角ずれただけでもう汗だく。はからずも、冷たい素麺をつるりと楽しむ準備は万全になった。テレビで観た店頭を見つけただけでキャッキャ騒ぎながら入場。しかし朝も早いのに満席。少し待って席に落ち着く。

 

妻「まずビールやね。」

私「研修ちゃうんか?」

妻「あかんの?」

私「とりあえず生2つ~」

 

メニュー表を見る。メニュー数は多すぎても少なすぎてもよくない。こちらは適度なバリエーション数で選ぶのも楽しい。王道は田舎仕立てなのだろうが、映えるのはやはりすだちのやつ(写真参照)か。妻が早々と田舎仕立てを選択したので自信をもってすだちを注文。そしてカンパイ。

 

 

常に大きな寸胴に火が付いているせいもあって涼しいとは言えない店内。素麺だからささっと出るのかと思いきや、ひとつひとつ丁寧に作られている様子で適度に待った。なるほど冷やしはひと工程多くなるのか。お待たせしましたと素麺が登場。キラキラ光るお出汁の色がきらびやかだ。

 

まずはお出汁をゴクリ。色的に関西出汁を思わせたが、結構しっかり味が強い。この暑さで汗ばむ身体にはちょうどよいか。すだちがのさわやかさが心地よい。麺をたっぷりすくってずるずる。普段食している素麺よりも太く、冷や麦より少し細い印象の口当たり。食感はコシがあって、食べ応えがあり「お昼ご飯」として単体で機能する。これは大盛りにして正解だった。

 

薄くスライスされたすだちは店員さんいわくそのまま一緒に食べちゃってということなので皮や種ごとパクリ。種を咀嚼すると酸味、苦みが段違い。風味がピーキーになりすぎるが夏ならこれぐらいがさわやかだ。

 

妻が田舎仕立てと交換してくれとジェスチャーゲームしてくるので快諾。錦糸卵、しいたけ、かにかま、わかめと昔懐かし系をいただく。これが、旨い。

 

郷愁の味、とまではいかなくも懐かしい味。どれもどれを邪魔してなく、それぞれが主張するバランス感。やっぱりこれだったし、これでなくては。しいたけの旨味からたまごの甘味、雰囲気を変えるわかめの食感と風味、遅れて最後にカニかまの鮮烈な香りが口に広がり、これがまた麺と合う。お出汁も麺が連れてきてくれるのでスープや水を飲む必要がなく、ただ麺と具材をすくい口に運ぶだけで完璧な料理となっている。

 

 

なぜこんなに旨いのか。今になって思えば具材それぞれのサイズがこの混然一体感を生み出しているような気がする。組み合わせ自体はオーソドックスで誰もが食べたことがあるはずなのにこの破壊力。やはり料理は先鋭され錬成していけば到達できる領域がある。奇をてらう必要はないかもしれない、と改めて思い知らされた。

太陽が南中しかかる暑い朝、小旅行ははじまったばかりだ。