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栗ぜんざいの話

 

 

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お中元で栗ぜんざいを頂いた。

しかも「冷やし」だ。もともと私は甘味に目がない。饅頭、団子、おはぎ、アンコ関係はなんでもあり、餅も同じく大好きだ。かといって洋菓子がダメというわけではない。生クリームたっぷりのパンケーキも並んで食べに行くのも苦じゃない。

 

 

さて今回は会社単位でのお中元ということもあり、小分けの和菓子が社員に配給される形式をとられた。最中、ようかんなど定番和菓子がラインナップされている中から選択できる寸法だ。そこにこの「冷やし栗ぜんざい」だ。

 

届いたその日の午後に配給が始まったので当然「冷や」されていない。中に何が入っているか予見できないからだ。誰も責めることはできない。この「冷やし栗ぜんざい」なるものは冷やされてこそ本来のパフォーマンスを発揮できる代物。かなりのネガティブアドバンテージが予想される中、選んだ。

それは期待値からではなく、未知への好奇心。火中の栗を拾う心持だ。

 

 

ここが断っておくが、それを社内の冷蔵庫で冷やし、後で食べるなどしない。敵前逃亡を意味する。何しっかり味わっとんねんと思われるだけでなく、配給を担当した事務員を愚弄することにもなる。紳士的に即食すのが筋だ。

 

紙パッケージを外し、透明のフィルムをはがすとピンッとカップ一杯に張ったぜんざいがある。一分のすき間もない様子からこれはようかんのように固いハードタイプの和菓子で名ばかりの「ぜんざい」を背負わされているのではないかとよぎる。

 

 

迷わば動け、スプーン一閃。

 

思いのほかの肩透かし。スッとスプーンが通る。これはしっかり半液状の「ぜんざい」であった。しかも絶妙のドロドロ感というか、パンパンに張った透明フィルムをはがす衝撃で中身がこぼれるどころか、微動だにしなかったのにスプーンはするりと入る。いやはや恐れ入った。

 

味だ。ミニなスプーンですくいあげひと口。甘い。甘さがすごい。甘味である。アンコは甘さの配分でうまさが決まる。いささか甘さ先行か。アンコの粒も至極やわらかい。スプーンの先に接触を感じる。そうか、栗か。外装写真同様の黄色い栗が隠れている。こちらもすくいあげ、食す。適度な歯ごたえ、このぜんざいの中でいいアクセントになっている。ひとつだけなのが残念だ。

 

しかしこの甘さ。いや、甘いのがぜんざいだ。ユニバーサルテイストに仕上げるなら甘さは多少過度に演出するのが甘味の役割。仕方ない。そう思い再び外装パッケージに目をやる。背筋に軽い震え。「冷やしぜんざい」と書いてある。

 

 

冷やされてこその真骨頂、そう知っていて選んだことを忘れていた。この甘さ、やわらかさ、冷やされた時にどれほど化けるかを瞬時に想像させられ、悪寒すら覚えた。

そう、最後には私自身が冷やされていたのであった。