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祇園祭の夜、菊水ポークカツレツの話

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昨夜は祇園祭り、宵山であった。

京都市東山区に移住して2度目の祇園祭。歩いてすぐに行ける距離なのだが昨年は暑さのあまり冷房完備の部屋から出ること叶わず、祭りは不参加であった。

 

今年は妻の野暮用帰りを迎えにあがるため祇園の花見小路に出掛けたのは夜の7時。高い太陽が沈みかけ、暗闇をまといだすと同時に祭りの熱気もいよいよ帯びてくる頃合いだ。行き交う浴衣姿の外国人を尻目にこちらはノースリーブ姿でも汗だく。遠いところから来ていただいたのにこんなに暑くてすいません、と謎の罪悪感を感じながら石畳を闊歩する。

 

妻と合流し、野暮用を済ませた後は祭りのお楽しみ、露店グルメに舌鼓を打とうではないかと四条河原町を目指す。京都の夏特有のセイロ蒸しのような湿度の暑さ、連なる黒山茶山の人の波は例年と変わらなかったが、お楽しみの露店、屋台の類が見つからない。

 

「あら~、店あらへんなあ。」

「ほんまやな。」

「どないして祭り楽しみやんのかなあ。」

 

などと呑気に話していると、妻の職場の仲間から連絡がきた。何やら菊水で合流しませんかとのこと。菊水とは四条大橋の北東角にある老舗の洋食屋ビルだ。夏はルーフトップで鴨川を一望できる往年の名店。しかしルーフトップは行ったことはあるが肝心の洋食を頂いたことがない。露店出店もないことだし祭りの夜に洋食ってのもオツなものかもしれない。

 

 

入口に一番近い、丸テーブルに妻の仲間たちは陣取っていた。お客の往来の多い出入口なだけ室内にもかかわらず蒸し暑く扇子片手に出迎えてくれた。露店でビールを飲めなかったのでまずはジョッキ大。最近あまり見なかったのでそのズシリとくるサイズ感がうれしい。続いてメニュー。ビーフカツレツ、オムライス、チキンソテーなど定番の洋食メニュー。どれもうまそうだ。選んだのはポークカツレツだ。ビーフよりも値ごろ感があって、しっかり脂身も食べたかったところにカツレツとくれば誰でも惹かれる。

 

まずはスープ。白いコーンポタージュ。こっちに向かってやってくる際、頼むから冷製スープであれ、と願掛けをしたがしっかりアツアツのスープであった。キンキンに冷えたビールでクールダウンした身体を半液状のスープで丹念に喉元から再加熱された。とろみの割りにあっさりとした味わいで命拾いした。お供のサラダをかきこみ、メインのディッシュがやってくる。

 

ポークカツレツだ。カツレツの下に敷かれたパスタ麺が洋食屋っぽくてアガる。ナイフはあるがすでに一口サイズに切られている。その真ん中をフォークでぷすり、口に運び入れる。想像よりも噛み応えのある食感、ヒレ肉か。特に観察せずに空腹に任せて放り込んだが、この上にかかっているソースが以外にもカレーだった。正確にはスパイスソースというべきか。宿命的にごはんに合う香り。ライスを選んでいたのも導きか。たんぱくな肉質にコクのあるスパイスソースが実にマッチしているが、脂分を欲しているのも事実。そうなればおのずと端の肉に期待がかかる。

 

 

一番端っこの肉を頬張る。

「ジュワッ!」やった。これだ。

脂がはじけ、とろけだす。ライスで受け止める。

祭りの夜は今はじまった。